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物理学上の法則というものが、それが即、自然自体の法則そのものだと信じられることも多いが、物理法則というのは、自然法則の不正確な写しや近似に過ぎないとする考え方もある。 また、物理法則が全て“永久で普遍の原理”だなどと信じられていた時代も長かったが、これも現在では疑問視されることも多い。ビッグバン仮説が見出され、科学者らがその理論に基づいて分析した結果、この宇宙の初期の段階では物理法則自体が定まっていない時期があり、あるきっかけで物理法則自体がある方向性で決まってゆく、空間自体の性質がある方向性で決まってゆくというプロセスを経て、現在我々が知っている「物理」自体ができあがってきた、とされているのである。また、現在の物理法則が将来も有効であるという保証は無い、それはそう信じたがっているタイプの物理学者の心に存在しているだけであって宇宙自体のどこにもそのような証拠はない、と指摘されることがある。 ある時点で物理学の領域で記述されている法則が、果たして本当に自然に存在している法則を充分に記述しているかどうか、ということは疑問視されることがある。 ニュートン力学は、20世紀初頭まで絶対的なもののように堅く信じられていた。その後、ニュートン力学というのは、絶対的ではないと理解されるようになってきている。 本物の自然というのは、人間の知的営為のかなたにあって、はるかに複雑であったり不可思議なことが実際には起きているのだ、それなのに理論体系や人工物に囲まれるとそうした基本的なことが分からなくなる、といったことも指摘されている。